1er étape 2eme étape

11/25/2013

松本

初めて松本に行ったのは
確か修士1年の確率論サマースクールの帰りだった。
とは言っても僕にとっては単なる通過点でしかなかったから
電車の乗り継ぎの合間にふらっと駅前を覗いただけで
駅を出て信号の向こうにお土産屋があったな、ぐらいしか覚えていない。
他の大学の連中も(関西方面とか)いた筈だから
ひょっとしたらそこで何か食べたのかも知れないけれども
今となっては全く覚えていない。
それよりも斑尾の駅に貼ってあった青春18きっぷのポスターを
千代延氏と見た事、そして撮影がアラーキーである事なんかを
いろいろ話した事の方を良く覚えている。

次に松本を訪れたのは博士(課程)になってから
ひょんな事から後輩と燕へ登る事になった時だ。
いろいろあって帰りは一人で帰って来る事になり
この時もまた乗り継ぎの合間に松本の駅前を少し歩いた。
なんか良い感じのカレー屋さんがあった事だけ記憶に残っている。
この時は多分、確実にどこかで何かを食べた筈だが
やはり詳しい事は覚えていない。
実際に食った店は覚えていないくせに
入らなかった店は覚えていると云うのも妙なものだが
まあ、そんなものかも知れない。

実はこの2回目のとき、松本に着く前、
燕から下りて来て時間があったので
穂高駅前で自転車を借りていろいろ回ってみた。
ちひろ美術館まで行ったから相当な距離を走った事になる。
しかも相当暑い日だったのを良く覚えている。
このときの印象があまりにも良かったので
その後毎年のように、しかも年に何度も
安曇野を訪れるようになった。
貸し自転車屋のオヤジとも顔見知りになってしまった。
今は子供が小さいからしょうがなく中断しているが
来年辺りから復活出来そうな予感がある。
いつもの蕎麦屋、ハーブモカソフト、書翰集、
碌山美術館、わさび田沿いの自転車道。
笠井家の年中行事と言っても良い『安曇野行き』だ。
そう、決して『松本行き』ではなく、『安曇野行き』。
やはり松本は通過点で、乗り継ぎの30分で
松本城まで行くぐらいが関の山だった。

それがどうした事か数年前からこの『松本』が
僕の中でだんだん大きくなり始めている。
いつもは日帰り貧乏旅行だったのを
ある時に泊まりがけにした事があって
(確かそのあと大糸線で富山へ抜けて金沢へ行ったんだった)、
そのとき時間があったから『ついでに』松本も回ってみた。
そば屋のはしご、『まるも』、『デリー』(まだ入ってないけど)、
和菓子屋さん、などなど。開智学校へも行ってみた。
あの辺りがきっかけだったのだと思う。
今までうっかり見過ごしてしまっていた
松本の良さがじわじわと僕の心を浸食している。
特別に何がどうと云うと『まるも』ぐらいなんだけど
何か心に響いて来る町、松本。
松本城みたいな古本屋とか、愛想の悪い和菓子屋とか、
どうでも良いものがいちいち引っかかって来る。
ああ、そうか、電車が松本駅へ入って行く時のあの
『まつもと〜まつもと〜』の声か。
ああ云うのも昔は普通だったけど今どきよそでは聞かないな。
5月に行くと嫌でも目にする『工芸の5月』のポスター、パンフレット。
こういうイヴェントも松本ならではなんだろうな。
『10センチ』はまだ行った事がなかったっけ。
駅前の、やたらと種類の多いタバコの自販機とか、
ホントにどうでも良いんだけど僕にとってはそれが松本。
もう松本だけのために行っても良いかも知れない。
いや、やっぱり穂高も行きたくなるに決まっているか。

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